表札莫し

はっとり(居留守)

思想

名を述べ

手を差し出す

握る(及び、握られる)

生まれを訊く

生業を明かす

 

「苦労は?して来たんかね」

「まあ、それなりに」

「それなりか。きみ、シワの数に果たしてその者の思想は写し出されると思うか」

「思いたくないです」

「言葉には?」

「言葉は仮面です。セックスと同じ」

「面白いことを言う」

「人が好きですが、好きになった人にはどうも嫌われてしまうようで。仮面が邪魔をするんでしょうか」

「出会い頭からする会話じゃないやな。きみのことは今のところ好きだが」

「どこがです?」

「その返答が好きだ」

「長い付き合いをする気がないでしょう」

「答えてやろうか?」

「。いえ、結構です。また会えたときに。次は思想についてでもお話ししましょう」

「今日のうちに食べないと腐る物があるとしよう、そうなった場合、君はそれをどうするね」

「棄てます」

「よかろう。次、また会おう」

 

 

 

 

次、また会おう。