過去の名作選①【君は天使】
あの娘の写真を枕の下に敷いた。
ディズニーランドのパンフレットを枕の下に敷いた。
あの娘とディズニーランドに行く夢を見た。
この原理を応用して、今度はあの娘の写真とアダルトビデオを枕の下に敷いて寝た。あの娘とHなことをする夢が見れると思った。
僕はわくわくしながら寝た。
しかし見たのは、彼女が数人の男たちに襲われている夢だった。夢の中の彼女は必死になって男たちに抵抗していた。僕はその様子を見ていた。何もできずにただ見ていた。僕はカメラマンだった。
目が覚めると、僕は泣いていた。
「僕のせいで、僕のせいであの娘が嫌な思いをしてしまった。僕が出来心で変なものと一緒にあの娘の写真を枕の下に入れてしまったせいで…」
しばらく僕は悔やんだ。
しばらく僕は悔やんだ。
数日後、僕はある決断をした。もう一度あのときと同じようにあの娘の写真とアダルトビデオを枕の下に敷いて寝て、今度はあの娘が襲われる前に奴らをボッコボコにしてやろう。そしてあの日のことをちゃんと彼女に謝ろう。
その夜、僕はあの日と同じビデオとあの娘の写真を枕の下に敷いて寝た。
「絶対に助けてあげるからね」
やがて夢が始まった。
夢はいきなり予想外の始まり方をした。なんと今度の自分はカメラマンではなく、襲う側の男たちの中の一人だったのだ。僕は少し戸惑った。しかしすぐに気持ちを切り替え、彼女の体にベタベタ触っている男たちに向かって叫んだ。
「やめろお前ら!その娘に触るんじゃねえ!」
そして片っ端からボコボコにぶん殴っていった。夢の中の僕は強く、5人ほどいた男たちを一瞬にして蹴散らしてしまった。最後にカメラマンの男もぶん殴ってやった。あの日の情けない自分をぶん殴る気持ちで。
そして僕はやさしく彼女に声をかけた
「もう安心だよ。ほら、早く服を着て」
すると彼女は怒りの目で僕をにらみつけ、いきなり右手で僕の頬を思いっきりビンタしてこう言い放った。
「仕事の邪魔しないでよこのバカ!」
そこで目が覚めた。
右の頬がヒリヒリしていた。